酸素、鉄、硫黄、塩といった物質を素材として取り入れたり、熱、重力、音(振動)など不可視の物理現象や観念を可視化した彫刻やインスタレーション作品で知られる村岡三郎氏。今展では、「Oxygen - Mosquito」(1995年、広島市現代美術館「ヒロシマ以後 - 現代美術からのメッセージ」展に初出)を中心に展示予定。「蚊」あるいは「アメーバ」などを意味する英文プレートが墓碑銘のように貼られた白い酸素ボンベによるインスタレーション作品です。酸素の消費量を存在の証とするかのように、白く塗られた酸素ボンベが生命の痕跡を異様な存在感で表出する。
白く塗られた6本の酸素ボンベには、それぞれ小さなプレートが付けられており、「蚊」、「アメーバ」、 「ミミズ」、「アオミドロ」、「大腸菌」、「苔」を意味する文字がしるされている。これら微小な生物が選ばれたのは、酸素があらゆる生命体にとって最も根元的な物質であることを語るためであり、またおそらくは人間の生のみが美化されることへの作家の懐疑の表れでもあろう。(文 : 洲浜元子 広島市現代美術館「ヒロシマ以後 - 現代美術からのメッセージ」図録 p.10より)
村岡 三郎 (むらおか・さぶろう)
1928年 大阪府に生まれる。現在、滋賀県大津市に在住。
1990 「第44回ヴェネチア・ビエンナーレ」日本館に出品
1997 東京国立近代美術館・京都国立近代美術館にて回顧展「熱の彫刻ー物質と生命の根源を求めて」
1999 第40回毎日芸術賞受賞
主な展覧会(1999年以降)
1999 「感覚の解放」 東京オペラシティアートギャラリー(東京)
2000 「越後妻有アートトリエンナーレ2000」越後妻有6市町村(新潟)
2001 「横浜トリエンナーレ2001<MEGA WAVE>」(神奈川)
2002 個展「村岡三郎展」京都精華ギャラリーフロール(京都)
2002 「融点・詩と彫刻による」 うらわ美術館(さいたま)
2004 個展「美術の中のかたち - 手でみる造形」兵庫県立美術館(兵庫)
2004 「色の博物誌・黄 - 土の力&空の光」目黒区美術館(東京)
2005 「現代美術のABC〜アートはあなたのそばにある〜」福井市美術館(福井)
2006 「持続/切断」(所蔵作品展)東京国立近代美術館(東京)
2007 「消失点 - 日本の現代美術」ニューデリー国立近代美術館(ニューデリー、インド)他
2009 「Art Document 2009 」金津創作の森(福井)
2010 「ロボットと美術−機械×身体のビジュアルイメージ」青森県立美術館(青森)
2010 「釜山ビエンナーレ2010 Living in Evolution」(釜山市立美術館、韓国 9月11日〜)
村岡三郎 関連展覧会のご案内
■「ロボットと美術−身体×機械のビジュアルイメージ」展(青森県立美術館で8月29日まで開催中)
9月18日−11月7日 静岡県立美術館 / 11月20日−2011年1月10日 島根県立石見美術館に巡回
■釜山ビエンナーレ2010《Living in Evolution》(釜山市立美術館、韓国)9月11日−11月20日
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